エンジンで発電し電動機でスクリューを回転推進するハイブリッド戦艦は第二次大戦中すでにドイツやアメリカで実用化されていました。
潜水艦に至っては潜航中はバッテリーによる電動推進なので電動船の先駆けです。
主機が帆で補機が燃料電池で電動機を回転させスクリュー推進するヨットはというと、堀江謙一氏によるDMFC(直接メタノール燃料電池)を搭載したMALT’SマーメイドIII号により、2002年7月に40年ぶりの太平洋単独横断が初と思われます。
世界初の水素船なるものは、複数が名乗りをあげていますが直接メタノール燃料電池(DMFC)ではない、純粋な水素を燃料電池燃料としたものはトヨタがスポンサーでバックアップしたFCハイブリッド船のエナジー・オブザーバー号だと思われます。
引用 トヨタ、船舶向けに初の燃料電池システムを開発し、フランスの「エナジー・オブザーバー号」に搭載
※ DMFCに対しFCは燃料電池でも基本的に構造が違います。
次世代船舶の動力を巡っては各業界、各国が競争しているところですがこっそりと水素船なるものが建造されて主流になるのかとおもいきや思わぬ伏兵、いえ台風の目のごとき候補が名乗りをあげました。
>スウェーデンの海運大手、ワレニウス・ウィルヘルムセン(Wallenius Wilhelmsen)は、船上に搭載した5基の特殊な鋼鉄製の帆で風をキャッチして運航する世界初の風力運航船「Oceanbird」を2021年に発注し、2024年には就航させると発表した。「フル風力パワー船」の登場で、海運の世界も実質ゼロエミッション化が進行することが期待される。<
引用 スウェーデン海運大手のワレニウス・ウィルヘルムセン、風力だけで運航する「Oceanbird」。来年にも建設へ。5基の鋼鉄製で伸縮型の帆を開発(RIEF)
>進化論は鳥に翼を与え、風の力を利用できるようにしました。Oceanbirdでも同じです。しかし翼の代わりに翼は鋼と複合材料で作られています。
伸縮機能のおかげで、翼はその長さの4分の1(80メートルから20メートル)に短縮できます。この機能はいくつかの理由で重要ですが、最も重要なのは次のとおりです。
- 橋の下を通過できること。
- 港内の船の最大喫水を減らす(水深の浅い港に入れる)。
- 強風時のリグ力の低減。
- 翼のメンテナンスを有効にします。
- 幅の広い風力の範囲でパフォーマンスを向上させます。<
引用 排出量の90%削減を主張する理由 (ワレニウスマリン社公式ウェブサイト)
動力は無風時や港湾内用に鋼板帆以外の動力(複数選考中で未定)とバッテリーシステムを予定しているそうです。
鋼板帆は5基がそれぞれ独立して、風に対して最適な向きに360度回転させることが可能とのこと。
2024年に就航予定ですからまもなくです。
私の予測ではこういった過渡期を経ながら予想より早く、超小型核融合炉やゼロポイントエネルギー機関を動力とした大型船、しかも反重力で飛ぶものが出現してくるのではないかと思います。
物流、海運が根底から変わる可能性はこの革新的なOceanbirdを考慮するならば明らかでしょう。
動画は3DCGのプロモです。